「本泉寺のこと」
本泉寺本堂

 

永禄3年(1560)慈雲院日栖聖人の開基。
天正7年(1575)、有岡城落城の際も兵火をまぬがれ、昔は中本山として4ケ寺の末寺を持っていたとも伝えられています。現在の建物は元禄九年(1696)、当時の造り酒屋であった 鹿嶋九郎左右衛門によって当地に再建されたものです。市内に現存する木造建築物としては、最大、最古の物です。
歴史あるお寺を守りつつも、皆様に広く開かれた場所となるために様々な新しい取り組みを行っています。

「供養」とは何か
-ごあいさつに代えて-
住職 内藤経雄

近年、住宅事情の変化や、生活スタイルの変化から、「墓石と仏壇を所有できない」、または「所有したくない」、あるいは、核家族化により「祭具(墓石・仏壇等)を親から引き継いだけれども、後々の祭祀方法がわからない」という方が多くなっています。
そもそもお墓や仏壇は何のためにあるのでしょうか。本当の意味で「供養する」とはどういうことなのでしょうか。

 

1: ただ読経や供物を供えるだけが供養ではありません。
一番大事なことは?

日本人の慣習としては、家族に死者が出た場合、葬儀を執行し、遺体を荼毘に付し焼骨を収拾する。その後、満中陰法要までに仏壇を用意し焼骨を埋葬するための墳墓を早急に用意する。満中陰法要後は死者の魂は仏壇と墳墓に宿っていると考え、 死者に対して読経をし、香・華・灯明・食物を御供えすることが一番大事で、それらをしなければご先祖様があの世で成仏できずに我々に罰を与える。その結果、人間の生活が上手くいかない、と考える人が多いのではないでしょうか。

本当にそうでしょうか?もしあなたが死後、あの世で意識があり、この世で暮らしている子孫を見ることができるとしましょう。これらのことを毎日、子孫がしてくれなければ、あなたは、子供に罰を与え、子供を困らせようとしますか?そんなご先祖様になろうと思っている方はいないはずです。それどころかどんなことがあっても子孫を守ってゆこうと考えるのではないでしょうか。だから我々人間は、ご先祖様に感謝する心を忘れてはなりませんし、心配を掛ける様な行動をしてはなりません。

ご先祖様にとって一番の願いは何かと考えてみると、自分の子孫達が家族親族はもちろんのこと、多くの人々と、お互いに協力し助け合いながら仲良くいつまでも健康で長生きしてゆく姿を見るのが一番嬉しい事でしょう。 そのような生き方の下で慈悲の心を持ち、たまには、お供え物をしてくれる子孫の姿を見ることが出来たならば、サプライズでプレゼントを貰えたかのように、ご先祖様としては、さらに嬉しいでしょう。そうであるならば、人間はそのように行動していくのが一番のご先祖様に対する供養であると考えます。

これらのことを自然に実行できる人が佛です。
人間は、ご先祖様に感謝し佛様を生きていくためのお手本と理解し、『自分も佛に成りたい』と考え、自らの心を清浄にするために、香を薫らし華を生け、真理を追求するために心の暗闇 に灯火をつけて佛様の様に生きて行く事が肝心です、その結果、慈悲の心が養われ 自分なりの先祖供養の方法が見つかるはずです。

2: ご先祖様はお寺に安置しましょう

近年、ご先祖様と佛様の違いが解らなくなっているように思います。 ご先祖様は感謝する対象で、佛様は人間の「生き方のお手本」です。 本来、仏壇はご先祖様の住処ではなく、我々の「生き方のお手本」をお祀りする場所、いわば寺院の本堂のミニチュアです。ただ単にご先祖様の住処としてであるならば仏壇を持つ必要はありません。ご先祖様は寺院等の一定の場所に安置し不動のものとし、普段の生活ではご先祖様に感謝し、そのご先祖様をとらえるものとして、例えば家庭では写真等を置くだけでもよいでしょう。

本泉寺の納骨堂は、上記のような「ご先祖様の不動の住処」となるために建立されます。本泉寺は、お預けいただいたご先祖様を永代にわたって維持・管理し、あらゆる場面に於いて皆様とご先祖様とのつながりを保ち、皆様方を助けていきたいと思っております。

3:本当の供養のために私たちがすべきこと

皆様方は、ご先祖をお寺に預けたから、何もしなくても良いというものではありませんし、何かをしなければいけないという決まりが発生するわけでもありません。又、お寺から供養を強制することもありません。あくまで個人の自由です。

ただ一つ、お願いするならば、「皆様方一人一人が慈悲の心を持って、お互いに助け合いながら又、安心を与えながら生きて行かれ、子孫と周りの縁者に対しても慈悲の心を持つことの大切さを伝えていただきたい」ということです。そのように生きて行くことが、釈迦が考えた「楽な生き方」であると気付いたときに、「生き方のお手本」を安置する仏壇が必要になるでしょう。

本泉寺の概要
名称 本泉寺
宗派 日蓮宗
開基 永禄3年(1560) 慈雲院日栖聖人
所在地 兵庫県伊丹市伊丹2-3-37
電話 072-782-1780